TPP亡国論 中野剛志

TPP亡国論 (集英社新書)

TPP亡国論 (集英社新書)

TPP参加国はアメリカ以外は小国で日本の輸出先となりえない。そのアメリカは日本への輸出を狙っている。そもそも安い農産物が輸入されたら物価が下がりデフレがさらに悪化する。日本(そしてドイツ)は輸入を増やして世界経済を正常にしなければならないのだが、デフレが悪化すれば輸入はかえって減少する。公共事業を増やして内需拡大を進め、デフレから脱却すべき。財政赤字は日本の国債はほとんどが日本人が持ち円建てであればギリシヤのようにはならない。また安全保障では、アメリカが日本を守らなくなるときにはTPPの参加とは関係がなくなると。また食料安全保障の面からも国内農業の維持を主張する。幕末の対立を攘夷か開国かではなく、攘夷か避戦かであるととらえ、明治維新を「攘夷・開国」ととらえる見方。戦略的な考えというのを改めて見せられた思いだ。それにしても菅首相の保身がスタートのTPP問題。すでに相当国益が損なわれてしまっているようだ。著者は経済産業省から京都大学に出向している身とか。