抗命 高木俊朗

抗命―インパール 2 (文春文庫)

抗命―インパール 2 (文春文庫)

インパール作戦で、インパール北の要衝コヒマを陥落させ維持することを命じられた「烈」師団。しかし約束された補給は全くなく、師団長は「林」軍の命令に抗して撤退する。軍は事態を糊塗するようにあらたな命令を出して取り繕うが、親補職の師団長を処罰することの影響を考えて、「発狂」したことにする。その方が、「林」やその上にある「森」にとって、敗戦の責任を追及されずに済むからだ。無責任極まりない上層部と、そのもとでいったんはコヒマを攻略するもその後、なんとか部下を守りきろうとする師団長と。補給なく雨季の印麺国境に放り出された兵士たちの証言に基づく描写が、前段の戦闘が勇壮なだけに物悲しい。