なぜリーダーは「失敗」を認められないのか リチャード・Ｓ・テドロー

なぜリーダーは「失敗」を認められないのか―現実に向き合うための８の教訓

「否認」がいかに心地よく、しかし事態を悪化させるものであることを、大衆の自動車に対する価値観の変化を見抜けなかったフォード、自分たちの製造スタイルから外れることから新製品を蔑視した米タイヤメーカー、新しい小売りの形態を、自らの店舗を見れば明らかなのに認めず惰性の成長に安住してしまったＡ＆Ｐとシアーズ、もはやアメリカの神話ともいえるブランドを安易に捨ててしまったコカ・コーラ、そしてドットコムバブルのあだ花ウェブバン。しかしコカ・コーラは、一見、ペプシの追撃と言う事実を否認せずに勇気を持って変革したようにも思えるのだが、そこは、ペプシ対策ではないと嘘をつき、フレーバー担当者が偶然発見したと嘘をついたことが、やはり否認たるゆえんなのだろう。正直に対応しようとすれば、ブランドの真の価値にも気付いたかもしれないということか。そして牟田口将軍は否認だらけで、カサンドラの参謀長や師団長は飛ばされたわけだ。