平家の群像 高橋昌明

平家の群像 物語から史実へ (岩波新書)

平家の群像 物語から史実へ (岩波新書)

維盛と重衡をみていく、ということだが、さらに重盛と宗盛との清盛と頼盛との「父太郎・母太郎」関係や、重盛が摂関家の血を引いている可能性(忠実の手がついた女性が彼の母を産んだと)の指摘、平家物語に描かれる知盛の武勇は重衡のものだったのではないかという指摘、乳母子との関係で義仲と兼平、重衡と盛長、知盛と家長、宗盛と景経を描いた覚一本の人間造型、小松家と一門主流との間柄や、平家軍の「連合艦隊」的性格など、実に内容豊富で示唆に富む。名著といっていい。