憤死 高木俊朗

憤死 (文春文庫)

憤死 (文春文庫)

最も貧弱な装備で人員も少ないままで師団としての戦闘を義務付けられた「祭」。師団長は秀才を気取り感情を露わにする人物。手記も当初は責任逃れの感がある。そういった事態を超えて、例によって「林」の責任転嫁は甚だしい。「弓」のように予め「林」を警戒して準備を進め対応を考えておくか(それでも師団参謀長が軍べったりだったわけだが)、「烈」のように抗命という処置をとるまで腹をくくるか。師団長は悲劇の人物ではあるが、扱いにくい人であったことも確かであろう。