宿命 高沢皓司

宿命―「よど号」亡命者たちの秘密工作 (新潮文庫)

宿命―「よど号」亡命者たちの秘密工作 (新潮文庫)

世界革命の根拠地を北朝鮮につくる、という荒唐無稽(と言い切ってしまおう)な目的でハイジャックした「よど号」たち。それは賓客扱いされた北朝鮮への義理立てから主体思想への隷従を産み、それが「世代を引き継いだ革命」という理論から日本人妻を調達し、そのうちの何人かは拉致し、さらに妻たちを使ってヨーロッパで日本人を拉致し、子どもをつくり、人質とされ、今度は「人道」を唱えて帰国を求める。それも無罪帰国をだ。その目的は日本の北朝鮮化であり、短期的にはさらなる拉致・経済的な利得であろう。なんとも恐ろしい国に、みすみす飛び込み、日本革命の戦士として格好の駒とさせられてしまった「よど号」たち。それを無邪気に支援してきた(おそらくある時期までの著者も)国内のグループ。気付かなかった公安当局。マスコミ。社会党はじめ政治家たち。みな、猛省だな。