生物と無生物のあいだ 福岡伸一

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

DNAをめぐる研究史を自らの経歴もまじえながら、平易に情熱をもって説いている。生命は自己再生機能であり、動的な平衡性である。原子がどうして小さいか、は、物理的な運動のなかでまとまりを持つために、生物が巨大でなければならないことの裏返しだ。そして自らも関わった特定のタンパク質欠落(ノックアウト)マウスが、何の異常もなく生きたこと、不完全なプリオンを注入されたマウスが狂牛病ならぬ狂「鼠」病になったことから、生物が機械と違う、折り畳まれた時間のある存在であること、柔軟性と不可逆性と。