謎とき日本近現代史 野島博之

謎とき日本近現代史 (講談社現代新書)

謎とき日本近現代史 (講談社現代新書)

日本が独立を保ったのは、開国を迫られた時期は自由貿易主義的で、日清戦争後の清国はその国際環境が変わっていた。海峡の重要性も大きく、イギリスとしては日本がほどほどの力を付けていることが重要だった。▽武士が特権を手放した背景として、武士が知行地から切り離されかなりの部分、官僚化していたことがあった。▽日本がワシントン体制に参加したのは、九ヵ国条約は現状維持で、無茶さえしなければ利権の維持を認めてもらえたうえ、軍縮条約でアメリカとの建艦競争を免れ、グアムやフィリピンに前進基地をつくらせない効果もあった。▽井上財政は人為的に不況をつくりだそうというものだが、その前提には好調なアメリカ経済があった。ニューヨークの株価大暴落が世界恐慌の始まりだとは、当時は考えられなかった。明治憲法下の内閣が短命の理由として、内閣の権限の弱さを挙げているが、現在の内閣も短命だね。