アメリカの司法制度は日本と違うので、
アメリカで事件になった時に
アメリカの弁護士を考えなく雇うととんでもないことになる、ということのようだ。「
ディスカバリー」。証拠開示要求が半端でないようだ。弁護士に依頼して相談した内容は保護されるようだが、それまでに日本的に社内で会議して報告書など作っていたらさらわれてしまう。
ディスカバリーを限定的にさせるように手を打たなければいけないのだが、日本の事情に詳しくない弁護士だとそうもいかないと。また
アメリカには
弁理士がないので、特許関係の業務を出願弁護士が取り扱っており、彼らが訴訟を担当することになると、はっきり言って能力が劣るようだ。また、共通点のある一定の範囲の人たちを代表して訴訟する「クラスアクション」。著者は、いたずらに正義を突っ張るのではなく、訴訟もビジネスと割り切り、よほどでなければ和解を進める。評決となった時、
陪審員たちの判断に信頼を置いていないようだ。ともあれ、パ
イオニアとしての著者の活躍ぶりは、
M&Aにおける、譲れるところと譲れないところをはっきりさせる、タ
イムリーを重視する姿勢などとともに、やや難解な用語や事象ながら、伝わってきた。日本の「
国益」のためにも、後に続く弁護士たちの奮闘を期待したい。