笑い三年、泣き三月。 木内昇

笑い三年、泣き三月。

笑い三年、泣き三月。

万歳が受けると信じきった世間知らずの芸人と、家族を空襲で失った活字が正義と信じている少年、そしてすべて斜に構える戦地がえりの映画崩れの男が、元華族を自称するダンサーと絡んで、終戦直後の浅草で生きていく。そして別れていく。読みにくいようでもあるのは、3つという視点が多すぎるのか。風俗事象は具体的なのだが、「一銭五厘赤紙で」というくだりは惜しい。本当に光秀に届けられたのは、「一銭五厘」ではなかったろうから。