大日本帝国の崩壊 山室建徳・編

大日本帝国の崩壊 (日本の時代史)

大日本帝国の崩壊 (日本の時代史)

結果の分かった現代からの視点でなく、その当時の状況・空気を踏まえてみると、確かに日本にとって戦争というのは、成功体験であり、戦争があれば勝って領土を拡張していったのだ。また、第一次世界大戦で戦争そのものに嫌悪があったヨーロッパと、中国の利権を守るために戦争をするという帝国主義的には当然な発想の日本とのずれ、という指摘も興味深い。そして、「鬼畜米英」という表現が使われるのはそうした残虐行為に対してであり、大本営は戦闘そのものがあったことは発表していて、国民はいちがいに騙されていたとは言えないということなども、なるほど、である。