明日のマーチ 石田衣良

明日のマーチ

明日のマーチ

派遣切りにあった4人の若者が、東京まで歩くという修吾に引きずられて、なんとなく歩き出す。ネットに詳しいアルファブロガーの伸也にいじめを柔らかく受け流すすべを持つ一軒お調子者の中国残留孤児三世の豊泉、そして就職氷河期で正社員になれなかった、常識的なスタンス(いわば読者代表か)の陽介。修吾の過去の事件が明らかになり、「切り捨てたら会社と同じ」という主張。無責任に膨らんでいくフォロワーを安全に管理するために厚生労働省を利用するしたたかさ。役所側も彼らを取り込み利用しようとするが、最後の最後でささやかな切り返しをしかける。このあたりも現実的でいい。マスコミの反応などとても現実的だ。