独裁者の教養 安田峰俊

独裁者の教養 (星海社新書)

独裁者の教養 (星海社新書)

中国とミャンマー国境の「ワ州」という鳥取県くらいの面積の独裁「国家」に潜入しようとする過程と、中国側で知り合った女性の友人(兵士)の協力で潜入した後のワ州内での見聞が、スターリンヒトラー毛沢東ポル・ポトニヤゾフリー・クアンユーフセインカダフィという有名どころの独裁者の間に入る。そして、「空気」に支配される日本こそ独裁国家だ、という展開だが。「空気」の独裁って、それは、独裁者の支配とは全く別物だろう。日本の「空気」とは、独裁者すら従わせるようなものであって、同一に論じる筋のものではない。また、せっかくの「密航記」だが、過程はおもしろいが、あくまで等身大の人物に自己投影してみてのことであって、成果と言えば特になく何を見たでもなくまさしく「触れた」だけで、仰々しく言うほどでもない(だから独裁者論で水増し?)。