日本軍も暗号解読などでは実はひけをとらなかった。では、問題は何か。情報部軽視・作戦部重視で、作戦部が情報を集めると都合のよいように判断してしまう。また情報部はあいまいな情報しか上げられなくなってしまう。「リ
クワイアメント」が欠かせないのだが、そのためには政策担当者が長期的な判断、確たる政策目標を持っていなければならない。場当たり的であれば情報部に対して要求もできないのだ。そして、
独ソ戦近しという情報が来ても、日独伊に
ソ連を加えて
アメリカを牽制する、という方向に突っ走ると、止めることができなくなってしまう情報部の立場の弱さ。さらに陸軍と海軍との間の
セクショナリズムは、陸軍が米ストリップ暗号解読に成功したことを海軍に知らせていなかったことなど、何をやっていたのかという感じである。そして、こうしたことは、現代の日本でもまったく変わっていないのではないかと思われる。