ナポレオンのエジプト 二ナ・バーリー

ナポレオンのエジプト―東方遠征に同行した科学者たちが遺したもの

ナポレオンのエジプト―東方遠征に同行した科学者たちが遺したもの

アレクサンドロスにならったナポレオンの構想(妄想と言うべきか)に惹かれてエジプト遠征に同行した学者たち。想像と異なる現実に幻滅し、古代エジプトとヘレニズムとを混同し、過酷な気候や疫病に悩まされ、イギリスとトルコ(特にイギリス海軍)の妨害のなか、現地の住民と対立し(学者たちはなんとか折り合いをつけようとしていたようだが)、ついにはナポレオンにも見捨てられ、兵士たちに邪魔者扱いされる。そうした奮闘ぶりが伝わってくる。知と合理性を重んじたフランス革命の精神で。現地の習慣や宗教に対する意識は、兵士たちほどではないにせよ、距離を置いたものだが。