自分を愛するとか自尊心を持つとかは、実は極めて危険なことで(行きすぎると、という意味なのかもしれないが、著者は警告の意味を込めてか相当程度否定的だ)、「自己賛美は非常に重要だ」「自己表現は個の確立に不可欠だ」とする現代
アメリカの風潮を改めなければならないとする。収入をはるかに超える額のローンを組んで08年の世界的な不況の引き金になったのも
ナルシシズムによるものだと。学生が銃を乱射するのも
ナルシシズムだと。子どもを甘やかし特別な存在だと持ち上げ、努力もせずに成果を求める人間が多くなった社会。日本は果たして。「訳者あとがき」にもあるが、前に読んだ『子供の名前が危ない』が見事に喝破しているように、
ナルシシズムは浸透している。