自己愛過剰社会 ジーン・M・トゥンギ W・キース・キャンベル

自己愛過剰社会

自己愛過剰社会

自分を愛するとか自尊心を持つとかは、実は極めて危険なことで(行きすぎると、という意味なのかもしれないが、著者は警告の意味を込めてか相当程度否定的だ)、「自己賛美は非常に重要だ」「自己表現は個の確立に不可欠だ」とする現代アメリカの風潮を改めなければならないとする。収入をはるかに超える額のローンを組んで08年の世界的な不況の引き金になったのもナルシシズムによるものだと。学生が銃を乱射するのもナルシシズムだと。子どもを甘やかし特別な存在だと持ち上げ、努力もせずに成果を求める人間が多くなった社会。日本は果たして。「訳者あとがき」にもあるが、前に読んだ『子供の名前が危ない』が見事に喝破しているように、ナルシシズムは浸透している。