非業の生者たち 下嶋哲朗

非業の生者たち――集団自決 サイパンから満洲へ

非業の生者たち――集団自決 サイパンから満洲へ

沖縄の壮絶な「”集団”自決」。竹橋事件から始まった明治政府の「教育」、自らの考えを持たず命令に盲従する、その「鬼畜米英」、中国で行った自国の軍隊の所業を写した幻影におびえ(満州ソ連軍はまさにその通りだったが)、生きようとせず、助けられようともせず、「強制された自主性」を発揮させて死に突き進む。そこには、軍隊・在郷軍人・学校長の姿があった。そして、集団自決は、サイパンで始まり、移住者の多かった沖縄を経て、満州へと連なっていく。著者は、それぞれの現場の生き残りを訪ね、事態を再現し、靖国の欺瞞性を明らかにしていく。