商店街はなぜ滅びるのか 新雅史

商店街はなぜ滅びるのか 社会・政治・経済史から探る再生の道 (光文社新書)

商店街はなぜ滅びるのか 社会・政治・経済史から探る再生の道 (光文社新書)

商店街は、戦前になって、専門性の低い零細小売商をまとめ「横の百貨店」として連携させるところから始まり、戦後は主婦の消費者運動が貯蓄を第二次産業に回し、小売業を保護することで安価な労働力を第二次産業に回す、という「国策」が背景にあった。そうして「両翼の安定」すなわち雇用の安定と自営業の安定が、オイルショックで崩壊する。工業団地は商業用地となり、景気対策の公共事業でバイパス道路がつくられ、大店法の対象外の郊外に大規模店舗がつくられる。またコンビニという商店街を内部から崩壊させる存在が、商店の「近代家族」体質、家族以外の排除から後継者不足とあいまって進出してくる。とりあえず、商店街が滅びる理由はわかった。地域社会の消費空間をどうやってつくっていくのか。それが課題なのだが。新たな規制と誘導、意識改革なのだろうか。