はっきりわかっていること、即ち「
英米可分論」と「ジリ貧論」を退ける。イギリス・オランダとだけ戦争しても輸送経路を
アメリカにさらす、3年経って石油が尽きた後に
アメリカが攻めてきたらおしまい。それまでの国際情勢好転を耐えることが、「秀才」たちにはできない。「外交交渉継続」と「開戦」が選択肢として選ばれたのは、いずれも相手方があり不確実であり、つまり「決定」しないで済むから。東郷外相は、陸軍と
アメリカとのニ正面作戦を闘い、強気の態度を示すことで陸軍の指示を調達しつつ
アメリカからの回答を大きな譲歩を引き出したと見せかけ、逆に
アメリカには、甲案・乙案と示し来栖大使の特派で日本の案を大きく見せて妥協にこぎつけようとした。海軍は陸軍に下駄を預けた。組織の都合が全体の利害よりも優先した。