アグルーカの行方 角幡唯介

北極圏の過酷な自然環境の中の旅の著述で、著者が強調しているのは、当時は地図がなかったこと。その先がどうなっているのか、わからないなかで歩き続けることの不安。また、イギリス探検隊がビクトリア朝の生活スタイルをそのまま持ち込むという「銀の食器」が遺体とともに見つかったエピソードは、大英帝国の万能感のような空気をうかがうことができた。