「AV女優」の社会学 鈴木涼美

著者は若く、多分、可愛らしく、AV女優との隔たりはさほどない、という自覚からスタートする。風俗ではなく、エンターテインメントだと強調される「モデル」たち。「単体」と「企画」。AV女優は、プロダクションと、メーカーと、監督と数多くの面接をこなすが、特に「企画」(「単体」よりヒエラルキーが下と、「単体」始めたばかりの子には思わせる)の、「上を目指す」、「頑張った分だけのことがある」、「キャラを立てた方が次の仕事が来る」という意識と数をこなすメーカーへの面接が彼女たちの「自発性」を引き出していく。その背景に、「自発性」を持たなければ保てないといういわば「日陰」の自覚があること。饒舌の背景を見事に分析している。いや、すごい。