偽りの外交使節 橋本雄

偽りの外交使節―室町時代の日朝関係 (歴史文化ライブラリー)

偽りの外交使節―室町時代の日朝関係 (歴史文化ライブラリー)

1455年から始まった遣朝鮮使のラッシュ。第一波は、実在する有力大名の名を使い、1470年からの第二波は、実在しないそれらしいものを使っている。第一波の背景には、1443年の癸亥約条による制限があり、第二波は、少弐氏を擁して宗氏が博多に進出したことがある。高麗ものに対するあこがれと朝鮮に対する蔑視、その複雑な状況は、大蔵経の価格、新しい明でなく高麗、宋・元を尊び、版本より国内の書写を重視する。価格を推定し、推論を進める手法はわかりやすい。簒奪者・世祖の代の「観音現相」などの仏教奇瑞を奇貨として祝賀の偽使を大量に送り込む。その背景に、遣明使に比べて朝鮮使が軽い扱いであったことから、国書の偽造などに罪悪感をもたなかったろうとも。それでも「敵礼」の国が印を送るはずのないことなど、外交上の知識のなさから朝鮮はある程度は見破っていたのだが。