「心の闇」と動機の語彙 鈴木智之

動機を語っているにもかかわらず「心の闇」と表現することは、「普通」「常識」と犯人を切り離してしまうことを意味する。つまり、理解できないと「規範的秩序の修復」も「認知的な実所の回復」もできないから動機の解明を求めるのだが、一方で、普通の子どもにも起きるようだと、それはそれで困るのだ。「物語モード」か「論理ー科学モード」か。動機の解明でなく、要因を除いていこうというアプローチは、ひょっとして、病気という背景を排除する危険な流れにつながってしまうということなのだろうか。