ヴィクラム・ラルの狭間の世界 M.G.ヴァッサンジ

ヴィクラム・ラルの狭間の世界

ヴィクラム・ラルの狭間の世界

これぞ大河小説。ケニアのインド人少年が、独立・腐敗のなか、詐欺師として悪名を高め、亡き親友の息子を救うために帰国して、おそらく殺される。淡々とした語り口の中、黒人への差別が独立後はインド人への差別に代わり、それが大統領との個人的な関係で救済されるなどのエピソードが語られる。親友が、妹の夫の協力で殺されるというくだりも、その醒めた語り口が効果的だ。インドのお菓子の描写も魅力的。あまどろしい。