ナショナリズム入門 植村和秀

ナショナリズム入門 (講談社現代新書)

ナショナリズム入門 (講談社現代新書)

人間集団としてのネイションか、地域単位のネイションか。日本は、特に戦後、人間集団としての「日本人」の住む「日本国」とが、世界的に見て非常に一致度が高く(その分、在外邦人や国内のアイヌ民族や在日外国人への意識が歪むのだが)、そのために海外のネイション事情がわかりにくい特殊さをまず自覚すべきなのだろう。例としてドイツは、国としてのドイツ以上にネイションは大きく広がっていた。そして島や半島など地域単位のネイションを形成しやすかった西ヨーロッパに比べて、平原が広がる東ヨーロッパでは人間集団としてのネイションが、「民族自決」の掛け声のなか「近代国家」を成立させていったことが、軋轢の原因となっている、その典型がユーゴ、ということなのだろうか。