「肌色」の憂鬱 眞嶋亜有

「肌色」の憂鬱 - 近代日本の人種体験 (中公叢書)

「肌色」の憂鬱 - 近代日本の人種体験 (中公叢書)

開国し、西洋文明の摂取に努めた日本。洋行したエリートは船中で、アメリカで、中国系への差別を目の当たりにして、「日本は違う」と主張し一方で中国系への差別意識を持つが、白人から見ると同じこと。そして日本人男性は日本人女性を、日本人女性は日本人男性を、白人的視線で見つめるようになる。そして、アメリカでの排日は人種差別ではなく劣等な移民によるものと、経済・社会的理由に帰し、人種差別反対の訴えは面目を保つことが主眼で実際に移民を保護しようという意識はなかった。日英同盟廃止後の、白人に認められたいという意識がドイツに向けられ、ナチスの黄色人蔑視は見ないことにする。日本を保つための西洋化が日本を捨てることができないという自己矛盾に撞着する。