「孟子」の革命思想と日本 松本健一

「孟子」の革命思想と日本―天皇家にはなぜ姓がないのか

「孟子」の革命思想と日本―天皇家にはなぜ姓がないのか

孟子」の易姓革命放伐という事態を起こさないために、天皇家に姓をそのものをなくしてしまい、天皇は姓を与える側にしてしまう。豊臣から天下を奪った徳川にとって、「孟子」は都合がよく、朱子学は金に黄河流域を抑えられた南宋が自らの正統性を主張するための学だから、江戸幕府が取り入れた。しかし秩序だってくると、「論語」の方へ傾いていく。『雨月物語』「白峯」は、崇徳院儒教西行の仏教が批判しているのではなく、双方を国学的な観点から批判しているものという解釈。日本の「国体」に合わないというわけだ。易姓革命は、天皇ではなく実際に権力を行使している幕府を倒す、という方向に使われる。それにしても、「孟子」が民主思想、ねえ。なるほど。講演速記録のような体裁だが、単純な言い間違いや勘違いと思われる箇所は、校正すべきだろうと思う。