子どもの中世史 斉藤研一

子どもの中世史

子どもの中世史

▽中世の子どもの売買は、史料上、およそ7歳からが目安で、男の子は草刈りや牛馬の鼻取りなどに従事し、鎌は「労働の世界での一歩を歩み始めたことを意味する象徴的なアイテム」だったのでは、と。絵画史料からは、草刈りは遊びの要素があるが、買われた子どもはノルマが課される。▽人間の臓器が薬としてみられた時代、生命力の強い子どもが狙われた。内臓をとられて放置された遺体は、鬼の所業とされただろう。胎児の肝が外傷の薬として効果があるとされ、出産にも対処が通じる金創医との関わりが窺われる。▽近世になり、小家族化・葬式仏教化で子どもへの視線が変化してきたことが、賽ノ河原や石女地獄の誕生につながっていった。