自衛隊史論 佐道明広

自衛隊史論: 政・官・軍・民の六〇年

自衛隊史論: 政・官・軍・民の六〇年

「軍からの安全」と「軍による安全」。自衛隊発足からの歴史は、「軍からの安全」が非常に重視され、「文官統制」が行われてきた。しかし、PKO・中国など活動の幅が広がるなかで、きしみが見え始めている。自主防衛と日米安保とどちらに主軸が置かれるか。旧陸軍関係者を排除してつくられた陸自と、旧海軍関係者がアメリカと協力してつくられた海自など出自もことなる各自衛隊の防衛構想のずれ。著者が「社会民主主義者」と呼ぶ民社研に集った学者たちの主張と役割。「専守防衛」から必然的に国土での戦闘ということになるのに、国民保護の未熟。沖縄の実は、地政学的に代替可能であるのに政治的に米軍基地を置かざるを得ないという政府側の本音と、それを知っている沖縄・知らない本土側の意識のずれ。与那国や対馬など、国境の離島が地域発展のために、交流しようとすることを、国防上の観点から押さえつける本土のいわば傲慢。