武士の奉公 高野信治

主君の方は、新参は使えても心根は信用できないとみているようだし、試験制度をとっても家格が高い者が低い成績では恥とはいえ、家格が低い者が上に立っては妬まれてしまう。仕事にかかる費用は自弁が原則の武士では、役柄が高くて家格が低ければ、破綻してしまう。養子は、家格が釣り合わなければ禁止されていたが、実際には抜け道もあったようだ。こうしたなか、どうやってモチベーションを高めるか、『葉隠』は、家老になることが最高の奉公と考え、しかも、なれなかった、と。