狗賓童子の島 飯嶋和一

狗賓(ぐひん)童子の島

狗賓(ぐひん)童子の島

大塩の高弟の子が、15になって流される。流刑先の隠岐・島後の人たちの誇り高くも温かな対応と、大坂と西郷での支配層である武士(一部を除く)の腐敗と腑抜けぶり。医師として住民の健康を守る主人公と、脇筋の著者の得意とする流通機構と収奪にまつわるからくり。「出雲党」と侮蔑される富商や庄屋たちにも公平な目配りを見せる筆致。飯嶋和一を読む喜び。