女たちの平安宮廷 木村朗子

村上天皇は、後宮をうまく運営したが、花山天皇は、欲望のままに女性を欲したと。この「うまく運営」というのが、出身の家格・親の地位に応じ、寵愛を分配したことを指すようだ。「オモテの権力」と「ウラの権力」とで、外戚関係を持たない実頼・兼通・頼忠の関白のもと、男子を産む競争が競われていく。一条朝初期のように天皇が幼く、皇太子が年長の場合、皇太子をめぐる競争が起きる。権力争いを「ウラ」の論理でのみ展開するために、花山への入内の順序などの時間の前後関係を入れ替えたりして、物語はつづられていく。召人→他家の妻格→正妻というルート。親と子両方と関係して子をなす者も。一妻多夫的な存在。