「共倒れ」社会を超えて 野崎泰伸

たしかに、障害児が生まれるから原発反対、という主張は、障害者にとって受け入れがたいものだろう。一点共闘の名のもとにそうした問題を見ないようにすることは、排除の論理に加担することだろう。自由とは、他者との関係性において成り立つとすれば、障害者の分離教育は、よくないということになるだろう。生命と尊厳は別。尊厳のある生命とない生命が区別されていて、ない生命を断つのが「尊厳死」。尊厳死論者に対しても、寝たきりの病人が惨めだという意識があるからで、そうしたことを許す社会を問題にすべきだと。功利主義を批判する。生命の選別につながっている。トリアージは、そもそも倫理を問う状況にないとも。シャム双生児の例などをみると、著者は、あらかじめ考えておこう、という態度に反発を感じているのだろうか。