2004-12-01から1ヶ月間の記事一覧

学生時代の友人・法律事務所勤務と大学教師と3人で、代々木の「ひつじや」へ。法律事務所勤務とは年に何回か会っていて、その前は7月、大久保の延辺料理の店・「千里香」だったが、大学教師の方とは3年ぶりくらい(百人町の韓国風魚料理店・「東海魚市場…

嫉妬の世界史 山内昌之

知られている歴史上のいわゆる英雄のほかに、森鷗外に多くページが割かれた。鷗外の嫉妬深さ、官僚としての挫折を文学作品や山県への接近で晴らそうとするあたり、また牧野富太郎も同様のことをしたあたり、中谷宇吉郎のはなしなど。石原莞爾と東条英機の話…

ふたり道三1、2、3、4 宮本昌孝 

斎藤道三が二人いた、というのがどのような事実か不勉強でよく知らないが、キャラクター設定などよくできているか。ただ、刀を葬るためだけに裏青江衆という集団が作られたこと(さすがに後半は出てこなくなったが)、刀の魔力などは今ひとつか。また戦国の…

山背の里から 熊谷達也

東北・マタギがこれまで日本人が忘れていた縄文的ナマの生き物との関わり方を示している、という宣言か。山背の里から―杜の都でひとり言作者: 熊谷達也出版社/メーカー: 小学館クリエイティブ発売日: 2004/10メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブ…

終りみだれぬ 東郷隆

「絵師合戦」流人で頼朝の挙兵に参加、右筆として仕えた絵師・藤原邦通、「開眼」運慶と快慶、「鼓」壱岐判官平知康と兄四郎、「熊谷往生」。「開眼」が一番か。回想仕立てにしない方がいいようにも。「熊谷往生」は、直実の前半生が参考になったが、ちょっ…

100歳の美しい脳 デヴィド・スノウドン

「ナン・スタディ」が、同じ生活条件で比較できるという痴呆研究だが、同じ環境で一方は症状が出て、一方は脳の状況は進行していても症状は出ず、また脳に損傷が出ないという事態。20歳の頃に書かれた自伝から「意味密度」「感情」を分析し、食べ物は野菜…

太平記「読み」の時代 若尾政希

「読み」が君恩や親子まで功利的にとらえること、宗教に関しては軍事力の保持や国家護持意識の批判、呪術性の否定など戦国期大名の要請を反映している。一方、忠義の対象を「国」と「君」とに分けているあたりは、国家法人説に通じるものを感じた。山鹿素行…

室町花伝 安部竜太郎

「知謀の淵」はやはり後味は悪い。「理尽鈔」では兵法のあるべき姿として称えられているそうだが(「戦場の精神史」)あまりに卑怯だと。一番よかったのは「バサラ将軍」。三条局が自ら後円融院に義満との密通を告げた(小説では直前でなかったことになるが…

太平記〈よみ〉の可能性 兵藤裕己

「読み」が君恩や親子まで功利的にとらえること、宗教に関しては軍事力の保持や国家護持意識の批判、呪術性の否定など戦国期大名の要請を反映している。一方、忠義の対象を「国」と「君」とに分けているあたりは、国家法人説に通じるものを感じた。山鹿素行…

シナン 上・下 夢枕獏

後書きで「「ひと晩で楽しんでください」とあるように一気に読めた(二日かかったけど)。全く知らなかった人物について、興味をもって引っ張る。神の名についての冒頭の神父ヨーゼフとの会話は、『陰陽師』の「呪」の考え方と同じだが、小説全体を貫くテー…

謎とき日本合戦史 鈴木眞哉

日本では白兵主義が伝統だった、という誤った常識は、どこから生まれたかを考察。源平は当然弓矢。刀傷の表現は実は軍記でも少ない。元寇、南北朝も軍忠状から圧倒的に矢傷。戦国時代も同様だが刀創傷が増える傾向。槍の登場と、首取りの影響。それが江戸の…

歴史のなかの米と肉 原田信男

日本は、米への価値観が非常に高まったことと反比例して肉への穢れ感が高まった。田の神が怒るから。稲作時期の肉食禁止、というところからスタート。武士は発生当初は狩猟者だったが、社会の支配者となり、米価値観に。米への価値が乏しかった北海道と沖縄…

摂関政治と王朝文化 加藤友康・編

▽「武門の形成」は、天慶の乱が貴族社会に深く記憶されたことに伴い、参加した清和源氏、貞盛流、秀郷流が武士のイエとなったこと、氏文読みも天皇出自とそのころの先祖から始まる。▽「王朝の仏教と文化」源信は初期メンバーだった「二十五三昧会」の過去帳…