戦場の精神史 佐伯真一

武士は名誉を重んじるが戦場での名誉は勝利や力、一般社会での名誉は公正や信義。平和な社会の価値基準を中世武士にも当てはめたことが混乱。以下、時代ごとに。▽古代。だまし討ちはけものに対しては当然。蝦夷も。戦争は狩りとスポーツの間を動く。▽村岡五郎と充とのような争いは自分の意思で戦闘参加を決められた段階(例えば自分の田を守る)では、ともかく、源平などでは、戦闘参加動機が功名。そこから首取りに。▽戦国家法が嘘を禁じるのはだまし討ちを効果的に、という面も。▽江戸時代「太平記理尽鈔」はドライ。犬死にをもっとも嫌う。「葉隠」は不満のつぶやきの面も。▽武士道と士道は違う。儒学者に批判された兵学者が「中国=文」「日本=武」となり、尊皇攘夷で大ブレイク。▽新渡戸稲造は武士道は自分の造語だと思っていた。

戦場の精神史  ~武士道という幻影 (NHK出版)

戦場の精神史 ~武士道という幻影 (NHK出版)