NHK

何やら変なことになっている。圧力があったとするプロデューサーとなかったとする政治家とNHK。なんだか、上前淳一郎氏の名著『支店長はなぜ死んだか』を思い出して探してみたが、ちょっと見つからない。そのなかに「スポンサーからの圧力はあったか」(タイトルは正確には違うかもしれない)という章がある。環境汚染の原因として洗剤を取り上げる番組担当者と、その部分の手直しを指示する会社側と、管理職の背後にスポンサーがいると主張する組合とが出てくるのだ。新聞記者の人は、記事を書く前に予め読んでおいた方がいいと思うが。個人的には、天皇に戦争責任はあると思うが、それは従軍慰安婦など個々の事例に対する責任とは自ずと次元を異にするし、個人の刑事責任追及の場である裁判で取り上げるのは政治的なショー以外のなにものでもない(極東国際軍事裁判A級戦犯などその典型であろう。戦争責任はその国の国民が性根を据えて追及していくべき事柄なのだ)。それを放送で取り上げるのは、多様な意見を紹介するという意味で結構なことだし、管見ではNHK以外に、野党的な?民放でプライムタイムに取り上げたという話は聴いたことがない。ただ、前述のような偏った政治的ショーを紹介する以上、その量や他の意見とのバランスを放送局が考慮しなければならないのは当然だ。問題は、安倍氏自身がきのうの『報道ステーション』で語るに落ちたように、放送前に内容が永田町で話題になっていた、ということである。個別の「圧力」の有無については、安倍氏や中川氏、NHKの言う通りなのだろう。プロデューサー氏は、直接国会議員の言動を知りうる立場にいないのだから。伝聞情報で勝負を賭けたのは、いかにもまずかったのではないか。