電子の星 石田衣良

『池袋ウエストパーク』シリーズは、いわば都市型人情小説、というところか。これが新宿でも渋谷でもだめで、古くからの下町と新しいもの(洗練されているものとそうでないものを含めて)強いて言えば上野だろうか(と思っていたら、上野が出てきた)。キングとサルとが手助けするパターンが確立しつつあるが、盛り込まれる流行とかっちりした物語の構成が、ワン・パターン感を防いでいる。ラーメンの話など、どうしてこんなありふれたテーマがこんなに巧みな作品になるのだろう。

電子の星 池袋ウエストゲートパーク〈4〉

電子の星 池袋ウエストゲートパーク〈4〉