室町時代の一皇族の生涯 横井清

室町時代の一皇族の生涯 『看聞日記』の世界 (講談社学術文庫)

室町時代の一皇族の生涯 『看聞日記』の世界 (講談社学術文庫)

伏見宮貞成親王の『看聞日記』を、40歳になるまで元服もままならない失意の時代、兄の死で疑惑をもたれながらも宮家を継ぎ、長男(あるいはかすかに自ら)を天皇にと後小松院や室町将軍との関係に気を使う時代、そして後花園天皇の即位を実現させ今度は自らの太上天皇尊号を願う時代と。足利義教になぜか気に入られ贈り物が多々あり、途切れると何かあったかと気に病む関係や、持明院統内部での、後光厳流との争い(皇位だけでなく所領が絡む)、「計会」という言葉で表現される宮家の不如意な経済状態など、興味深く描かれている。