被差別部落のわが半生 山下力

被差別部落のわが半生 (平凡社新書)

被差別部落のわが半生 (平凡社新書)

かつては自ら「糾弾屋」と認める著者が、率直に、反省を交えながら、自己批判を交えながら語っている。経済的な格差の解消が一応解決した後も、特措法の方向での運動を続けた理由を、差別解消に向けた自らのスタンスがわからなくなっていた(自分の娘にも多忙を理由に向き合えなかった)「無責任で気楽な運動を保障してくれた魔法の杖」という表現で自己批判している。この率直さあればこそ、主に前半で具体的に記される差別の実態とそれに対する憤りが真摯に伝わってくる。