「社会調査」のウソ 谷岡一郎

「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)

「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)

自分がいかに「リサーチ・リテラシー」がないか、ちょっと愕然とするくらい。だまされ易いようだ。社会運動団体の「投票」の胡散臭さは承知していたが、母集団の問題だけでなく、▼逆の因果(原因と結果が逆。甲南大学出身者が社長になるのではなく、社長になる層=社長の息子=がよく行く大学)▼見せかけの相関(コーヒー→心臓病からカフェイン→心臓病といくのでなく、砂糖の関与を疑う)▼スプリアス効果(どちらも同じ原因。灰皿と肺がんは、わかりやすいが、暴力テレビと非行も、どちらも親の育て方→子どもの暴力的な性格が原因と考えられる。あるいは逆の因果かも)。朝日と読売を例に、いかに自分の都合のよい結論に導くか、質問票を工夫しているかもわかった。逆に言えば、質問票を公開していないで発表される「調査結果」は検証が難しいだけに怪しいのかもしれない。