戦争広告代理店 高木徹

ドキュメント 戦争広告代理店―情報操作とボスニア紛争

ドキュメント 戦争広告代理店―情報操作とボスニア紛争

ボスニア紛争を決定付けたPR会社の動きを描いている。紛争の行方を決定付けたキャッチコピー「民族浄化」は、原語の英語のうち、「purifying」ではなく「cleansing」を使うことで「ぞっとする」イメージをより強く持たせ、さらにナチスを連想させながらユダヤ社会の反発を招かないように直接的な比喩になっていない。強制収容所も、ホロコーストのような施設の存在は疑わしいが、その言葉であたかもあったように思われ(写真もかなり意図的)、存在を否定的に表現するカナダの将軍は社会的生命を絶たれ、決して民族融和といえないボスニア政府の実態は覆い隠されていく。PR会社の戦略は巧みで、日本の外務省の体たらくと比較すれば、目を覆わんばかりだ。