しのびよるネオ階級社会 林信吾

新書267しのびよるネオ階級社会 (平凡社新書)

新書267しのびよるネオ階級社会 (平凡社新書)

イギリス滞在の経験から、「持って生まれた分」により、エリートと労働者とが教育段階で分けられ、労働者階級が「どうせ」という感じでモラルを崩壊させてしまう、という実態を明らかにしている。そして、なまじ学歴社会である日本の場合、メージャー元首相のような、中途入社の銀行で役員にのぼりつめることは不可能と断じ、より深刻な事態になると。また、教育改革が、勉強する意思のない子(させる意思のない親)と熱心な子(親)の格差を付ける方向に進んでいると位置付けている。確かに、階級社会よりはまだ学歴社会の方がマシな面はあろう。ただ、高学歴でも安定した生活が送れる保障はなくなっている。読後の印象としては、イギリス経験に「パラサイト社会のゆくえ』を組み合わせたような本、という感じだ。