逃亡くそたわけ 絲山秋子

逃亡くそたわけ

逃亡くそたわけ

繰り返されるフレーズが印象に残る。精神病を理由に別れを告げられた主人公は、無理やり逃亡につきあわせた「なごやん」がまもなく退院予定だったことを知り、それ以上近付けなくなったのだろう。そんな2人の、いわば珍道中。大分から熊本、宮崎、鹿児島と山中から都市を抜けるドライブで登場する風景や泥棒などの出来事、猫山医院などの描写はとても魅力的。非常にうまい小説だ。