ユージニア 恩田陸

ユージニア

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すごい小説を読み始めてしまった、という感じであったが、結末が近付くとあれれ。結局美少女の一言を勝手に解釈した頭のおかしい青年の犯行で、全ては周りの思い込みということか。それにしては、最初の章での彼女が「白い百日紅」の話をしていたことを知っていたら、『忘れられた祝祭』は全く違ったものになっていただろう、というのはどういうことなのか。読みが浅いのかなあ。「私」は、生き残った三兄妹の「順二」の大学時代のゼミナリステンとすると44歳相当ということになるが、昔の事件を丹念に掘り返すにしては、いったい何者なのか、という疑問も湧いてくる。出版社の管理職とのやりとりからもモノ書きではなさそうだし。