グランド・フィナーレ 阿部和重

グランド・フィナーレ

グランド・フィナーレ

芥川賞受賞の表題作は、少女趣味(というきれいな表現ではおさまらないが)が妻にばれて離婚、溺愛する娘とも会えない男が、郷里に戻り、自殺志願かもしれない二人の美少女の救済を通して自ら再生していく、という話。短いが、読ませる。うまい。神町は再生の舞台だから、『シンセミア』よりは、東根市民に受け入れやすかったろう。他の作品は、まあ、どうでもよいという感じ。本にしようもないパンフレット文をついでに載せた、という感じすらする。