原爆を投下するまで日本を降伏させるな 鳥居民

原爆を投下するまで日本を降伏させるな――トルーマンとバーンズの陰謀

原爆を投下するまで日本を降伏させるな――トルーマンとバーンズの陰謀

①莫大な予算を費やして開発した原爆が「間に合わなかった兵器」となってはならない、②偉大な大統領となりたい、③ソ連スターリンを牽制するためにも原爆の威力を実地に示すことが必要だ。以上3点が、すでに勝敗も決し、とても100万の犠牲も必要ない対日戦、それも天皇制の護持という最終的には受け入れた条件を示さず、さらに外交提案ともとられないように、あえて「黙殺」されるような形をとって「最後通告」を行う。卑劣極まりない。こんな国に安全保障を委ねていていいのか、というのは確かにあろう。当時のソ連よりはるかにましだったとしても(でもソ連は、原爆は落とさなかった。能力がなかっただけだろうけど)。そして③は本書で触れられているように、東ヨーロッパの共産化・朝鮮戦争と、なんらスターリン毛沢東を牽制できなかった。冒頭、大陸打通作戦が、蒋介石と国民政府の威信を失墜させ結果として毛沢東共産党に有利になったとして、原爆投下とのつながりは、やや遠いような。スターリンの存在やソ連の対日参戦の日程がより重要になるにしても、原爆投下まで日本を降伏させない、という彼らの大方針に変わりはなかったろう。