ドイツ総選挙

やや旧聞に属してしまうが。シュレーダーというのは、たいしたものだ、ということか。一時20ポイントつけられていた支持率の差を、得票率では1ポイントにしてしまった。メルケルがテレビ討論のたびにボロを出したにせよ、結局任期満了まで引っ張るよりは、よほど負けぶりはよかった。勝った、と強弁しても通る結果だ(党首ミュンテフェーリンクからシュレーダーは花束をもらっていたな)。ただ、ドイツ連邦議会選挙制度は、比例代表議席配分を決め、小選挙区の当選者を優先し、復活当選ありという、合理的かもしれないが、有権者に理解を求めるコストが高過ぎる(日本の惜敗率による復活当選という、衆議院ほどではないが。さらに全く別の参議院の制度があり、地方議会はまた別、よりはマシか)。ドイツの選挙システムは、複雑なだけにいったん理解すると、いろいろ言いたくなってしまう。でも、残り1選挙区となると、絶対ほかの選挙結果に影響を受ける=CDUかSPDか、になる。それに、そもそもわかりにくい選挙制度は、有権者の投票意欲を殺ぎます。
初めてドイツに渡ったときは、ちょうどコールがシュレーダーに敗れた直後で、コペンバーゲンからフランクフルトに向かうルフトハンザの機中で開いた「シュピーゲル」は、選挙後の政権の予測記事で、最終的に成立した赤・緑のシュレーダー政権とは別に、コール大連立政権の可能性も(その場合、シュレーダーは入閣せず、当時社民党党首のラフォンテーヌが副首相兼蔵相として擬されていた)載せていた。今、ラフォンテーヌは、旧共産党と手を組み(欧州社民の旗手としてブレアの大先輩として認識していた身としては、とまどう限り)、撹乱要因だ。『国境を超える社会民主主義』『社会民主主義の新しい選択』(いずれも現代の理論社)を、訳者の責任であろう悪文に耐えて読んだものだったが。ところで、もはや党首でもないシュレーダーにどこまで大連立を拒否する権限があるのかも、よくわからないが。