風味絶佳 山田詠美

風味絶佳

風味絶佳

「夕餉」。ひたすらの努力が決定的な破綻の予感。男との間の埋められることのできない「育ち」の差。男に尽くそうとすればするほど、その差が明確になり、小説内ではうまくいっているだけに。表題作「風味絶佳」。祖母に仕込まれたアメリカナイズは、祖母のような長く重い人生がないと、意識せず上滑りしてしまうのか。少し気の毒。冒頭作「間食」。不思議な佳作。かまわれ慣れた男の心理。