労働政治 久米郁男

労働政治ー戦後政治のなかの労働組合 (中公新書 (1797))

労働政治ー戦後政治のなかの労働組合 (中公新書 (1797))

中曽根行革の頃には改革を推進する立場だった労働組合小泉政権では改革を阻害するような位置にいるのはなぜか。労働戦線は民間主導で、共産系・協会系を排除して実現しているのに。その理由を探りたくて読んだが、実に読みにくく、歴史までは極めて退屈だった。要は、スト権ストで主導権を喪失した官公労に対し、改革を主導した民間労組だったが、共産系や協会系が自分たちから出ていく形でたなボタ式に統一が実現してしまい、何を要求していくか、という覇権を確立できなかったこと、いったん組織内に取り込んでしまった組織からの要求であれば力を持つ(ここで第1章の理論編、すなわちコスト・集合行為問題=少数集団はたとえ社会全体にコストをかける結果となったとしても自分たちの利益が大きければ主張するコストをかけても意味がある。多数派は、主張するコストと帰ってくる利益を衡量にかけて、フリーライダーを決め込み、結果として少数集団の主張が通る=の考え方が出てくるのだろうか)、ということなのだろうか。