霊鬼頼朝 高橋直樹

霊鬼頼朝

霊鬼頼朝

頼朝を描くのに「雑色」という人物を造形するのは、着眼点として秀逸。確かにさまざまな使いに雑色が使われたようだ。ただ、思わせぶりな時忠の文書は、今一つ効果をあげていなかったようだ。それに清恒をもってすれば、文書を取り返すことは可能だったろうし。この作品でも基成をただの流人として扱うのは、結局頼朝の意向などを見抜けない凡人であるということを示すためか。